3DCADへ移行をお考えの方
移行する前に確認しておきたいこと
以下の3項目について3DCAD導入前に確認しておくことで、失敗のリスクが減ります。
- 設計手法やルールについて
- 2次元図面について
- カーネルについて
設計手法やルールについての確認
1.設計手法の違い
まず2DCADから3DCADへ移行する際に確認しておきたいことは、設計手法が大きく変わるということです。2DCADでは平面に線を描いていくので、組図や部品図など、どの図面から描き始めても図面上で問題が起きることはまずないです。また、後工程との兼ね合いで詳細を省いた図面を作成するといったことも可能です。
それに対し、多くの3DCADはまず部品の形状の詳細を決めないと設計ができないという特徴を持っています。組図から描いて、後から部品図を作成するといったことが難しいため、多くの場合ボトムアップという手法で設計していくことになります。この手法の違いが3DCADに移行しても使いづらい理由の一つになっています。
2.講習・ガイドライン作成の必要性
3DCADは様々な形状を多岐にわたる操作で作成することが出来ます。導入にあたって準備をせずに設計者それぞれに任せた設計を行うと、ある設計者が4つの手順で作成するものを、別の設計者が作成すると7手順かかってしまうなど、設計者の3DCADスキルによって工数が左右されてしまいます。
それを防ぐために、操作講習とパーツ作成のルール決め(ガイドライン作成)等をはじめに行う必要があるのです。
3DCADの良い所である「設計が早い」、「工数削減」、「完成品の再現」などはこうした下積みの上に成り立っています。購入しインストールしただけでは大きな効果は得られません。
導入・実用に関しての準備を行うことで3DCADの恩恵をフルに享受することができます。
2DCADだけではわからなかった試作前の干渉確認や、強度の解析など3DCADでしかできないことが行えるのです。
2次元図面について
3DCADへ移行したからといって2次元図面が不要になるわけではありません。
設計後の工程や現場では3DCADを必要としない場面が殆どで3Dモデルを見る環境がなかったり、2次元図面が必須の場合が多いです。こうした背景から設計を3Dで行っても2次元図面を作成する必要性が出てきます。
多くの3DCADは2次元図面を作成する機能を持っています。
ただ、ここで2次元図面を1から作成する必要はありません。3Dモデルから2次元図面に投影することができます。2DCADでは描き辛かった断面図や三面図をすぐに作成することができます。
中には2次元図面を作成するだけではなく、十分に使用できる2DCADを搭載している3DCADも存在します。
カーネルについて
カーネルとは3DCADがモデル形状の処理や計算を行う核となる部分です。パソコンで例えるならOSに相当し、その違いがよく分かるのは曲面処理です。
ハイエンド3DCADは独自のカーネルを搭載していますが、ミッドレンジ・ローエンドの3DCADは多くの場合以下のカーネルを用いています。
- ACIS(エイシス)
- Parasolid(パラソリッド)
- DESIGN BASE(デザインベース)※開発が終了しています。
カーネルは3DCAD同士のデータやり取りの際に深く関わってきます。同じカーネルを搭載しているCAD同士ほどデータの再現性が高くなる傾向があります。取引先などと密接にデータのやり取りをする可能性がある場合はカーネルに注意してCADを選択することで、問題の発生を最小限に留めることができます。